【Netflix】ホワイト・ヘルメット〜 シリアの民間防衛隊〜の視聴レビュー

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本日、「ホワイト・ヘルメット」を無視するノーベル平和賞の大罪というNewsweekの記事を読み、恥ずかしながら初めてホワイト・ヘルメットの存在を知りました。

ホワイト・ヘルメットとは、シリアで活動する一般市民のボランティアで構成された民間救助隊です。

ホワイト・ヘルメットの活動は、ホワイト・ヘルメット〜 シリアの民間防衛隊〜という短編ドキュメンタリーにもなりNetflixで配信されています。

40分という比較的短い作品ですが、今この瞬間にも私たちと同じ世界で起きていることが生々しく描かれています。

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3人の隊員に焦点を当てたドキュメンタリー

ドキュメンタリーはアレッポで活動するホワイト・ヘルメットの隊員3人を追っています。

ハリド・ファラ(元建設作業員)

ハリド・ファラ(元建設作業員)

ハリド・ファラは元建設作業員で、アレッポに奥さんと娘さんとともに暮らしています。

アブ・オマール(元金属加工業者)

アブ・オマール(元金属加工業者)

アブ・オマール(元金属加工業者)も同じくアレッポに家族と生活をしています。

ムハマド・ファラ(元縫製業者)

ムハマド・ファラ(元縫製業者)

ムハマド・ファラは、以前は反体制派の武装グループに所属していましたが、標的にされているのが市民であることを知り、ホワイト・ヘルメットへ参加することで人道支援の道を選択しました。

1日数十回にもおよぶ出動

3人の紹介が終わると、ホワイト・ヘルメットの隊員全員で朝食を取っている光景が映し出されます。彼らが救助活動に出る前の様子です。

突然、戦闘機の音がして、彼らは急いで外へ飛び出します。

空を見上げると、そこにはロシアの爆撃機が飛んでおり、アレッポの一部が空爆されています。

彼らはすぐに爆撃のあった場所に向かい、倒壊した建物の中から生存者を救助していきます。

彼らは1日に数十回も救出作業にあたるそうです。

2013年の発足以来、隊員の犠牲者は130人以上

空爆での犠牲者は一般市民だけでなく、救助活動をする隊員も含まれます。

2013年のホワイト・ヘルメット発足以来、隊員の犠牲者は130名以上にのぼっています。

壊滅的な被害を受けた建物の中から1人の赤ん坊が救助される

アレッポ アンサリ地区で壊滅的な被害を受けた建物の中から、生後1ヶ月に満たない赤ん坊が奇跡的に生存し、ホワイト・ヘルメットの手で救出されました。

この赤ん坊は、「奇跡の赤ちゃん」(ミラクル・ベイビー)と名付けられます。

ドキュメンタリーの後半では、この「奇跡の赤ちゃん」マハムドくんの18ヶ月後の姿も映し出されます。

彼らは他人の子供さえ、自分の子供のように愛情を注いで接しているのがわかります。

いつ終息するのか分からない内戦のなか活動する彼らにとって、マハムドくんのような生存者こそが希望であり、その希望があるからこそ活動を続けられると語っています。

隊員のほとんどは救助経験がない

ホワイト・ヘルメットの隊員の多くは救助経験がありません。

そのため戦火のシリアを離れ、1ヶ月ほどトルコ南部の都市で救助訓練を受けています。

彼らがトルコで救助訓練を受けている間にも、シリアは空爆されています。

訓練期間中に、アブ・オマールの職場の近くが爆撃され、兄弟や息子さんの安否を現地に確認している場面があります。

同じく訓練期間中に反体制派の病院が空爆され、隊員の1人アブ・ザイドの兄弟が亡くなる場面もあります。

兄弟が亡くなっても、それでも彼らは彼らの使命をまっとうするために訓練を受けます。

この辺りの隊員の様子はドキュメンタリーの中では極めて中立に淡々と描かれています。

家族を失った隊員がどういう心境なのか、それは私たちが読み取るべきことなのかもしれません。

もしかすると読み取ったものは全く違う感情なのかもしれません。

もしかすると私たちには分からないのかもしれません。

しかし、彼らは未来を楽観することを忘れていません。

「明日は今日よりも必ずよくなる」

それを信じて、彼らは活動しています。

監督はアカデミー賞候補にもなったアインシーデル

「ホワイト・ヘルメット〜シリアの民間防衛隊〜」の監督はヴィルンガでアカデミー賞ノミネートも果たしたオーランド・ヴォン・アインシーデルです。

監督のオーランド・ヴォン・アインシーデル

監督のオーランド・ヴォン・アインシーデル

アインシーデルは「われわれはこの作品が、とりわけシリア人男性に関する固定概念の破壊を促してくれること、そしてシリアのありのままの姿を伝えてくれることを願っている」と語っています。

一つの命を救うことは人類を救うことだ

ホワイト・ヘルメットには標語があるそうです。

それは、

「一つの命を救うことは人類を救うことだ」

というものです。

コーランにある、「最も慈悲深い行いは1人の命を救うことで、それは全人類を救うことである」という教えに沿ったものです。

一般市民2,900人で構成されているホワイト・ヘルメットは、その標語に背くことなく、過去5年間で58,000人以上の命を救って来ました。

まとめ

シリアの内戦の状況というのは、平和に暮らす私たちにとっては普段は知ることがない、知る必要がないと思えることなのかもしれません。

私たちは食べるために、そして自己実現のために生きていますが、彼らは生き延びるために日々生きなければなりません。

映画を見慣れていると、このようなドキュメンタリーもフィクションのように思えてくることがあります。

しかし、これも今この世界で同じ時間に起こっている現実の一つです。

作品のなかでアブ・オマールも言っていますが、私たちと彼らで何が違うのかといえば、置かれた環境のみです。

人間としての在り方に大差があるわけではありません。

彼ら自身も私たちと同じように、日々平穏に暮らせることを願って生きています。

ドキュメンタリーのなかで「奇跡の赤ちゃん」マハムドくんを救助しているハレド・オマー(写真右から二番目)は今年8月の空爆で亡くなったそうです。

彼らの言葉を借りれば、多くの人のために自分の魂を犠牲にしても惜しくはないと考える人たちが、いとも簡単にこの世界から消えてしまうことを考えると、やるせない気持ちになりますね。

私たちは自分の命や生活を守るために、彼らが置かれている状況から目を背けている現実があるわけですから。

シリアの状況を他人事と考えず生きていけるだけの余裕が私たちにあるのでしょうか。

一刻も早くシリアの内戦が集結してくれることを祈るばかりです。

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